2012年6月29日、『「革新的エネルギー・環境戦略の策定に向けた国民的議論の推進事業」の問題点について』 と題した意見書を、経済産業省資源エネルギー庁に提出すると当時に、プレスリリースを行いましたので、ここにお知らせします。

 

意見書の概要

 
2012年6月29日
 

経済産業省 資源エネルギー庁 御中

 

「革新的エネルギー・環境戦略の策定に向けた国民的議論の推進事業」の問題点について【概要版】

 
 

本意見書の目的

 政府は、「エネルギー・環境会議」の新たなエネルギー政策(革新的エネルギー・環境戦略)の検討方針に沿った形で、今夏、新しいタイプの討論会を計画しています(註)。仕様書には明記されていませんが、この討論会は「討論型世論調査(Deliberative Polling®)」の手法にならったものであると推測されます。

 しかしながら、仕様書が示す今回の討論会の計画は、公正で効果的な議論を行なうための条件を欠いており、かりにこのままの形で実施されれば、本来の討論型世論調査とは似て非なる不適切なものとなり、世論の誘導や形だけの「国民的議論」として厳しい批判を招くことが危惧されます。

 

主な問題点

問題点1:意見誘導にならないようにするための方策が講じられていない

問題点2:参加者の選出の妥当性を確保する方法が示されていない

問題点3:日程的な限界がある

 

 その他にも、現段階で公表されている討論会の計画には、いくつかの問題点があり(本文参照)、このまま実施されれば、国民の間に政府の取り組みへの不信感が強まり、国民的議論をかえって阻害することにもなりかねないと危惧しており、本意見書をもって、警鐘を鳴らすことといたします。

 なお、本意見書は、討論型世論調査等を用いた国民的議論の推進を否定するものではありません。より丁寧な設計のもとに、また多様な手法を用いた上で、時間をかけて国民的議論を行うことを求めるものであることを付記いたします。

 
 
大津珠子(北海道大学)、神里達博(大阪大学)、蔵田伸雄(北海道大学)、斉藤健(北海道大学)、標葉隆馬(総合研究大学院大学)、調麻佐志(東京工業大学)、杉山滋郎(北海道大学)、竹本寛秋(北海道大学)、田中幹人(早稲田大学)、田原敬一郎(財団法人未来工学研究所)、直江清隆(東北大学)、中島秀人(東京工業大学)、中村征樹(大阪大学)、野家啓一(東北大学)、早岡英介(北海道大学)、原塑(東北大学)、平川秀幸(大阪大学)、平田光司(総合研究大学院大学)、松浦正浩(東京大学)、三上直之(北海道大学)、八木絵香(大阪大学)、山内保典(大阪大学)、吉澤剛(大阪大学)、吉田省子(北海道大学)、若松征男(東京電機大学)、ほか1名
【五十音順】
 
 

 平成24年度電源立地推進調整等事業(革新的エネルギー・環境戦略策定に向けた国民的議論の推進事業(討論会事業に係るもの) http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1206/120622a/3.pdf